〈アート〉

〈アート〉

Art

 人間が一定の材料や技芸、形式などを通して、“何らかのもの”を創造・表現しようとするあらゆる活動のこと。

 また、そのような活動によって生み出された作品。

 現代日本において、このような意味で〈アート〉と言う場合、それはしばしば「芸術」よりも広い対象を含む概念とみなされる。現代の美学や芸術学においては、「美」や「芸術」の定義をめぐる膨大な議論があり、統一的な「芸術」の意味を定めることがきわめて困難となっている。その一方で、〈アート〉という広い概念は、これまで「芸術」とは見なされてこなかった幅広い領域から、美的なものをすくい上げるための有効な見方を提供してくれている。

 「芸術」ではないが〈アート〉と見なされるものの典型としては、たとえばテレビコマーシャルやロック音楽、一部のスポーツなどが挙げられる。なぜこれらが「芸術」から外れるのかといえば、これらが必ずしも近代芸術学的な意味での「美」を追求しているとは限らないからである。

 本論考においては、〈ゲームデザイン〉という行為および作品としての〈ゲーム〉が、先に定めた〈アート〉に属するものであることを前提に話をすすめる。〈ゲームデザイン〉は、一定の技芸や形式を駆使して、〈ゲーム的状況〉をなるべく“面白く”再現しようとする人間の活動にほかならず、したがってこの〈アート〉の定義に問題なくあてはまる。しかし、〈ゲームデザイン〉が果たして「芸術」であるかどうかについては、本定義集では一切関知しないことにしている(本文が「芸術」を用語として定義していないのは、その意志の表れである)。

  →〈ゲームデザイン〉〈ゲーム〉

(西村1995, 1998)