〈イマジナリィ・ボード〉

〈イマジナリィ・ボード〉

Imaginary Boards, An Imaginary Board

 〈システムデザイン〉〈マスターリング〉〈プレイング〉の3つの表現がセッションの場において相互作用することを通じて、概念的に編纂・共有されるに至った、想像上の遊戯盤のこと。

 上に述べた〈共同ゲームデザイン〉の成果物と見なすことができるだろう。

 この遊戯盤は、確かにRPG独特のゲームデザインであるように思われるが、実際のところは、通常のボードゲームにおける「ボード」とほとんど変わりなく機能するし、時には具体的なマップや地図等にボードゲーム的な表現を適用することで、アクチュアルなものとして取り扱うことも可能である(しかし、そのすべてをアクチュアルに取り扱うことは不可能である)。

 この「ボードを概念的に把握する」という現象は、〈ゲームデザイン〉という技法そのものが物理的に束縛されない、抽象的思考によって行われる技法であることを踏まえれば、それほど驚くに当たらないことではある。しかし、1970年代にこのような新たなゲームデザイン技法が成立したことにより、ゲームのカスタマイズ性(冗長性)が飛躍的に増したことは確かに画期的なものであり、そして今もなおRPGの様々な魅力を生み出す源泉であり続けている。

 なお、この〈イマジナリィ・ボード〉の名称は、ロールプレイング・ゲームにおけルゲームデザイン的特性を指摘するために高橋(2005a)が考案した言葉であるが、この語の由来それ自体は、世界最初のロールプレイング・ゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ルールブックの、以下の記述に拠る。

「このD&D(R)はロールプレイングゲームである。君は役者(キャラクター)となる。君は、誰か他の人物であって、その人のふりをしているだけなのだと想像してほしい。ただしステージも必要ない。必要なのは、想像力だけなのである。

 このゲームにはゲーム盤はついていない。全く必要ないのである。どんな大きなゲーム盤でも総てのダンジョン、モンスター、君のキャラクターを載せることは不可能だろう!」

(ガイギャックス&アーンソン1985: 2)

  →〈ロールプレイング・ゲーム〉〈共同ゲームデザイン〉

(高橋2005a)