〈正名〉

〈正名〉

Correct Name

 『論語』巻第七、子路第十三、三節、「必ずや名を正さんか」。

 弟子の子路がいった。

 「衛の殿さまが先生をお迎えして政治をなされることになれば、先生は何をまず先〔さ〕きになさるのですか」。

 先生はいわれた。「まずは名を正すことだね。」

 子路はいった、「これですから、先生の回りくどさは。(この急場にそんなものを)どうしてまた正すのですか。」

 先生は言われた、「がさつだね、由〔ゆう〕は。君子は自分の分からないことではだまっているものだ。名が正しくなければことばも順当でなく、ことばが順当でなければ仕事もできあがらず、仕事ができあがらなければ、儀礼や音楽も盛んにならず、儀礼や音楽が盛んでなければ刑罰もぴったりゆかず、刑罰がぴったりとゆかなければ人民は(不安で)手足のおきどころもなくなる。だから君子は名をつけたら、きっとことばでいえるし、ことばでいったらきっと実行できるようにする。君子は自分のことばについては決していいかげんにしないものだよ。」

(金谷1963: 249-50)